校正と校閲の違いとは?
Web制作で知っておきたい役割と使い分けを解説
誤字脱字を直すことだけが「文章のチェック」ではありません。 Webサイトの品質を高めるために知っておきたい、校正・校閲それぞれの役割と、 制作現場での実践的な使い分けを解説します。
Webサイトの制作中、「公開前に文章を確認してください」と依頼されることがあります。 そのときに行われる作業は、ひとまとめに「校正」と呼ばれがちです。
しかし実際には、誤字脱字や表記の乱れを確認する作業と、 文章に書かれている内容が正しいかを確認する作業は、 目的も確認方法も異なります。 前者は主に「校正」、後者は主に「校閲」と呼ばれます。
紙媒体では比較的なじみのある言葉ですが、Web制作の現場では、 デザイン、コーディング、CMS登録、動作確認などの工程に意識が向きやすく、 文章そのものの確認工程が曖昧になることも少なくありません。
この記事では、校正と校閲の基本的な違いを整理しながら、 コーポレートサイト、採用サイト、サービスサイト、オウンドメディアなど、 Web制作の現場では何を確認すべきなのかを具体的に解説します。
DIFFERENCE
校正と校閲の違い
校正と校閲は、どちらも文章の品質を高めるための作業です。 ただし、確認する対象が異なります。
PROOFREADING
校正
文章の「表面」を整える
- 誤字・脱字
- 表記揺れ
- 句読点や記号
- 原稿との差異
- レイアウト上の文字崩れ
FACT CHECKING
校閲
文章の「内容」を確かめる
- 事実関係
- 固有名詞
- 数値や年月日
- 矛盾や論理の不整合
- 不適切・誤解を招く表現
例えば、会社案内ページに「創業から50年」と書かれていたとします。 「創業」の文字が「創業業」になっていないかを確認するのは校正です。 一方、実際の創業年から計算して本当に50年なのかを確認するのは校閲です。
また、「お問い合わせ」と「お問合せ」が同じサイト内で混在していないかを確認するのは校正です。 お問い合わせ先の電話番号や受付時間が最新情報と一致しているかを確認するのは校閲です。
校正は「書かれ方が正しいか」、校閲は「書かれている内容が正しいか」を確認する作業と考えると、 違いを理解しやすくなります。
PROOFREADING
Web制作における校正で確認すること
Web制作における校正では、文章そのものだけでなく、 デザインやHTMLへの実装によって発生した文字上の問題も確認します。
誤字・脱字・変換ミス
最も基本的な確認項目です。 タイピングミス、漢字の変換ミス、助詞の抜け、同じ言葉の重複などを確認します。
サービスの詳しい詳細についてご紹介します。
サービスの詳細についてご紹介します。
Webページは複数の担当者が編集することも多く、 原稿作成時にはなかった誤りが、 CMSへのコピー&ペーストや修正作業の途中で入り込むことがあります。
表記揺れ
同じ意味の言葉が異なる表記で混在していないかを確認します。 表記揺れは文章の意味を大きく変えるものではありませんが、 サイト全体の統一感や企業としての信頼感に影響します。
どちらか一方が必ず間違いというわけではありません。 大切なのは、媒体や企業の表記ルールに合わせて統一することです。
句読点・括弧・記号
句読点の位置、括弧の開閉、全角・半角、記号の使い方も校正の対象です。 特にWebサイトでは、半角スペースや不要な改行がレイアウトへ影響することがあります。
見出し末尾に句点を付けるか、英数字を半角で統一するか、 製品名に含まれる記号をどう扱うかなど、 サイト全体のルールを決めておくと確認しやすくなります。
原稿と実装内容の差異
支給されたWordやExcelの原稿と、 ブラウザー上に表示されている文章が一致しているかを確認します。 文章が途中で抜けていないか、古い原稿が残っていないか、 修正指示が正しく反映されているかも重要です。
校正は完成した文章を読むだけではありません。 制作前の原稿と実装後のページを比較し、 制作工程で意図しない変更が生じていないかを確認する役割もあります。
FACT CHECKING
Web制作における校閲で確認すること
校閲では、文章の内容に踏み込みます。 誤字がなく自然に読める文章でも、 内容が事実と異なっていれば公開情報として問題があります。
会社情報・固有名詞
会社名、サービス名、商品名、人名、部署名、資格名などを確認します。 英字の大文字・小文字、スペース、登録商標に含まれる記号も含めて、 公式の表記と一致しているかを確かめます。
コーポレートサイトでは、旧社名や旧部署名が残っているケースもあります。 ページ単体では自然に見えても、 会社概要や最新の組織図と照合すると誤りに気付くことがあります。
数値・日付・単位
価格、割合、実績件数、設立年、従業員数、営業時間などは、 誤りがあるとユーザーの判断に直接影響します。
数字は特に注意が必要
「10,000円」と「100,000円」の違いは、 ゼロが一つ増えただけでも重大です。 数字は文章の流れだけで判断せず、 資料や管理画面などの根拠と照合します。
文章内の矛盾
ページ上部では「全国対応」と書かれているのに、 ページ下部では「関東エリア限定」と説明されている。 プラン一覧では月額料金と書かれているのに、 FAQでは年額料金として説明されている。 このような矛盾は、誤字脱字だけを確認していても見つけられません。
校閲では、一文ごとの正しさだけでなく、 ページ全体、サイト全体で情報が整合しているかを確認します。
根拠のない断定や誤解を招く表現
「必ず成果が出ます」「業界で一番選ばれています」「完全に安全です」 といった表現には注意が必要です。 明確な根拠がなければ、ユーザーへ誤解を与えたり、 広告表現上の問題につながったりする可能性があります。
校閲では、文章として読めるかどうかだけでなく、 その表現を企業の公式サイトとして公開して問題がないかという視点も必要です。
WEB SPECIFIC
Web制作特有の確認ポイント
Webサイトでは、文章が正しくてもページとして正しく機能しているとは限りません。 校正・校閲に加えて、Web媒体特有の観点が必要になります。
リンク先
リンク切れだけでなく、 リンクテキストと遷移先の内容が一致しているかを確認します。
ボタン文言
「資料を請求する」を押した先が問い合わせフォームになっていないかなど、 導線との整合を確認します。
画像内テキスト
HTML上の文章だけでなく、 バナーや図版に含まれる価格・日付・説明文も対象です。
メタ情報
title、description、OGPなどに 旧名称や仮テキストが残っていないか確認します。
レスポンシブ表示
スマートフォンで文字が隠れる、 改行位置が不自然になるといった問題を確認します。
フォーム項目
項目名、必須表示、エラーメッセージ、 確認画面、送信メールの文面まで確認します。
Web制作では、原稿、デザインカンプ、HTML、CMS、画像、ブラウザー表示など、 同じ情報が複数の場所に存在します。 そのため「原稿は正しかった」という確認だけでは不十分です。
ユーザーが実際に見る公開環境を最終成果物として捉え、 ページ内の文字情報と機能が正しく結び付いているかまで確認する必要があります。
WORKFLOW
校正・校閲を制作工程へ組み込む方法
校正と校閲は、公開直前にまとめて行えばよいとは限りません。 制作の段階に応じて確認内容を分けると、手戻りを減らせます。
原稿作成・受領時
固有名詞、数値、日付、主張の根拠などを確認します。 内容に疑問がある場合は、デザインへ流し込む前に確認します。
デザイン確認時
原稿の欠落、不自然な改行、文字サイズによる読みづらさ、 画像内テキストとの不一致などを確認します。
コーディング・CMS登録後
原稿との差異、文字化け、不要なスペース、リンク先、 見出し構造、フォーム文言などを確認します。
公開前の最終確認
公開予定の環境を使い、PCとスマートフォンの両方で確認します。 更新日やキャンペーン期間など、 公開日に依存する情報も再確認します。
一度にすべてを確認しようとすると、 チェック項目が多くなり、見落としも増えます。 内容の確認、表記の確認、実装の確認を工程ごとに分けることが重要です。
公開直前の校正だけに頼るのではなく、
制作工程そのものに確認作業を組み込む。
CHECK LIST
公開前に確認したいチェックリスト
GENERATIVE AI
生成AI時代に校正・校閲が必要な理由
生成AIを使えば、短時間で大量の文章を作成できます。 記事の構成案、サービス紹介文、FAQ、メール文面など、 Web制作でも文章作成を支援する場面が増えています。
一方で、自然に読める文章が生成されたからといって、 内容が正しいとは限りません。 実在しない制度や統計をもっともらしく説明したり、 古い情報を現在の情報として扱ったりすることがあります。
また、文章全体は読みやすくても、 企業独自の表記ルールに合っていない、 同じ意味の表現が繰り返されている、 サービスの特徴が一般論へ置き換わっている、 といった問題が生じることもあります。
生成AIの文章で確認したいこと
- 数値・制度・事例に根拠があるか
- 存在しないサービスや機能を説明していないか
- 現在の情報と過去の情報が混在していないか
- 企業の実態と異なる強みを作り出していないか
- 過度な断定や誇張表現が含まれていないか
- 他社や他媒体の表現に過度に似ていないか
生成AIは、原稿作成を効率化する有効な道具です。 しかし、作成された文章をそのまま公開するのではなく、 人が校正・校閲を行い、 企業が発信する情報として責任を持てる状態へ整える必要があります。
SUMMARY
校正と校閲は、Webサイトの信頼性を支える工程
校正は、誤字脱字、表記揺れ、記号、原稿との差異など、 主に文章の書かれ方を整える作業です。
校閲は、固有名詞、数値、日付、事実関係、文章内の矛盾など、 主に書かれている内容の正しさを確認する作業です。
Web制作では、これらに加えて、 リンク、ボタン、画像内テキスト、フォーム、メタ情報、 レスポンシブ表示なども確認する必要があります。 文章だけを切り離して確認するのではなく、 ユーザーが実際に閲覧・操作するページ全体を確認することが大切です。
誤字が一つあるだけでサービスそのものの品質が低いとは限りません。 しかし、会社名、料金、日付、問い合わせ先などに誤りがあれば、 ユーザーはサイト全体の情報を信頼できなくなります。
デザインや機能が優れたWebサイトであっても、 掲載内容が不正確では十分な成果につながりません。 校正と校閲を制作工程へ適切に組み込み、 正しく、分かりやすく、安心して利用できるWebサイトを目指すことが重要です。
- 校正は、 誤字脱字や表記揺れなど「書かれ方」を確認する
- 校閲は、 数値や事実関係など「内容の正しさ」を確認する
- Webでは、リンクやフォーム、画像内テキストも確認対象になる
- 公開直前だけでなく、制作工程ごとに確認すると手戻りを減らせる
- 生成AIで作成した文章にも、人による校正・校閲が必要である
FREQUENTLY ASKED QUESTIONS
校正・校閲に関するよくある質問
Q 校正だけ行えば、Webサイトの文章確認として十分ですか?
誤字脱字や表記の統一だけが目的であれば校正でも対応できます。 ただし、価格、日付、会社情報、サービス内容などの正確性を確認するには校閲も必要です。
Q 公開済みのサイトにも校正・校閲は必要ですか?
必要です。 公開後に情報が古くなったり、更新時に表記が揺れたりすることがあります。 定期的に主要ページを見直すことで、 情報の鮮度とサイト全体の信頼性を保ちやすくなります。
Q ブラウザーのスペルチェックだけでは不十分ですか?
スペルチェックは明らかな入力ミスの発見には役立ちますが、 文脈上の誤り、固有名詞、数値の正しさ、 ページ間の矛盾までは判断できません。 自動チェックと人による確認を組み合わせることが効果的です。