赤字の入れ方とは?伝わる修正指示の書き方とコツをWeb制作の現場目線で解説


WEB PRODUCTION × COMMUNICATION

赤字の入れ方とは?
伝わる修正指示の書き方とコツ
Web制作の現場目線で解説

赤字の入れ方で、伝わり方が変わる。
修正の品質を高めるのは、指示の「量」ではなく「明確さ」です。

修正指示 Web制作 デザイン確認 コミュニケーション
RED PEN

「もう少し目立たせてください」ではなく、
何を、なぜ、どのように変えるのかまで伝える。

Webサイトやパンフレット、広告、記事原稿などの制作では、 確認担当者が制作物に修正指示を入れる場面があります。 PDFに赤字を書き込んだり、デザインデータへコメントを付けたり、 メールやチャットで修正内容を伝えたりする方法が一般的です。

ところが、修正指示を入れたにもかかわらず、 完成したものを確認すると「意図していた修正と違う」と感じることがあります。 制作者が指示を見落としていた場合もありますが、 指示の内容そのものが曖昧で、複数の解釈ができる状態になっていた可能性もあります。

例えば、「ここを目立たせてください」という赤字だけでは、 文字を大きくするのか、色を変えるのか、太字にするのか、 周囲の余白を増やすのか、配置を変えるのかが分かりません。 確認する側には明確なイメージがあっても、 そのイメージが言葉として共有されていなければ、制作者は推測して対応することになります。

修正指示は、間違いを指摘するためだけのものではありません。 完成イメージ、変更の目的、優先順位を制作チームで共有し、 制作物をより良い状態へ近づけるためのコミュニケーションです。

この記事では、Web制作の現場で起こりやすい例を取り上げながら、 意図が伝わる赤字の入れ方、避けたい修正指示、 手戻りを減らすための確認方法について解説します。

01

COMMUNICATION

赤字は「間違い探し」ではなく情報共有

「赤字を入れる」という言葉には、 誤字や間違いを指摘するという印象があります。 しかし、Web制作における修正指示の対象は、 明確な誤りだけではありません。

見出しの優先順位を調整する、サービスの特徴が伝わるように文章を変更する、 問い合わせボタンを見つけやすくする、 スマートフォンで読みやすい配置にするといった改善も修正指示に含まれます。

そのため、赤字を「正解を知っている人が間違いを直す作業」と考えるよりも、 確認者が持っている情報や判断を制作担当者へ共有する作業と考えた方が、 適切な指示を作りやすくなります。

×

伝わりにくい考え方

違うので直してください

問題があることだけを伝え、 判断や具体的な対応方法を制作者へ委ねている状態です。

伝わりやすい考え方

目的と完成状態を共有する

どこに問題があり、どの状態を目指すのかを 制作担当者と共有します。

修正指示の目的は、赤字を入れた人の意図を再現してもらうことです。 指示を受け取った人が迷わず作業できる状態になっているかどうかが、 良い赤字を判断する一つの基準になります。

POINT

赤字は、問題点を知らせるだけでなく、 「何を目指して変更するのか」を共有するために入れます。

02

WHY IT FAILS

修正指示が伝わらない主な原因

赤字と異なる修正結果になった場合、 制作担当者の理解不足だけを原因にしてしまいがちです。 しかし、実際には指示の書き方や確認方法に原因があることも少なくありません。

01

指示の対象が分からない

矢印や囲み線が複数の要素にかかっており、 文字、画像、余白のどこを修正するのか判断できない状態です。

02

完成状態が分からない

「小さい」「弱い」「違和感がある」など、 現状への評価だけが書かれ、変更後の状態が示されていません。

03

理由が共有されていない

なぜ変更するのかが分からないため、 指定された部分だけを直し、同じ目的に関係する箇所を見落とします。

04

指示同士が矛盾している

複数の担当者が個別に赤字を入れ、 「削除」と「残す」など相反する指示が混在している状態です。

05

修正範囲が不明確

指定箇所だけを変えるのか、 サイト内の同一表現をすべて変えるのかが明記されていません。

06

最新の指示が分からない

複数のPDFやメールが存在し、 どのファイルが最新版なのか判断できない状態です。

これらに共通しているのは、指示を受け取った人が 「推測しなければ作業できない」という点です。

制作経験が豊富な担当者であれば、 文脈から意図を推測して対応できることもあります。 しかし、その推測が確認者の意図と一致する保証はありません。 推測に依存した修正は、再修正や確認の往復を増やす原因になります。

03

FIVE PRINCIPLES

伝わる赤字に必要な5つの要素

分かりやすい修正指示を作るためには、 「対象」「現状の問題」「変更内容」「目的」「範囲」の5つを意識します。 すべての赤字を長文にする必要はありませんが、 誤解が生じそうな指示には必要な情報を補います。

01

対象

どの文章、画像、ボタン、余白、ページを修正するのかを明確にします。 囲み線、矢印、番号などを使い、コメントと対象を対応させます。

例:ファーストビュー右側の「無料相談」ボタン

02

現状の問題

現在の状態で何が問題なのかを簡潔に伝えます。 読みにくい、見つけにくい、情報が古いなど、判断の前提を共有します。

例:背景色と近く、ボタンが見つけにくい

03

変更内容

何をどう変えるのかを具体的に書きます。 差し替える文章が決まっている場合は、完成原稿をそのまま記載します。

例:ボタン背景を濃い青、文字を白へ変更

04

目的

変更によって何を改善したいのかを共有します。 目的が分かれば、指定した方法が難しい場合でも代替案を検討できます。

例:問い合わせ導線を見つけやすくするため

05

範囲

該当箇所のみか、同じ要素すべてか、 PCとスマートフォンの両方かなど、適用範囲を明記します。

例:全ページ共通。PC・スマートフォンともに変更

伝わる修正指示の基本形

どこを どう変えるか なぜ変えるか どこまで変えるか

04

BEFORE & AFTER

曖昧な指示と伝わる指示の比較

修正指示は、少し言葉を補うだけでも伝わり方が変わります。 制作現場で見かけやすい表現を、具体的な指示へ置き換えてみます。

CASE 01

要素を目立たせたい場合

NG

ここをもっと目立たせてください。

GOOD

問い合わせボタンが背景に埋もれているため、 背景色を濃い青、文字色を白へ変更してください。 ボタンのサイズと位置は現状のままでお願いします。

CASE 02

文章を短くしたい場合

NG

文章が長いので短くしてください。

GOOD

スマートフォンで見出し下の説明が長く見えるため、 100文字程度に短縮してください。 「初回相談無料」と「全国対応」の情報は残してください。

CASE 03

余白を調整したい場合

NG

この辺りのバランスを整えてください。

GOOD

見出しと本文の間隔が他セクションより広いため、 直前の「サービス紹介」セクションと同じ余白にそろえてください。

CASE 04

表現を変更したい場合

NG

この言い方は変えてください。

GOOD

「必ず成果が出ます」は断定的なため、 「成果につながる改善を支援します」へ変更してください。

CASE 05

参考サイトを示す場合

NG

このサイトのような感じにしてください。

GOOD

参考サイトのデザイン全体ではなく、 見出し左側に番号を配置する構成のみ参考にしてください。 色やフォントは現在のサイトデザインを維持します。

「いい感じに」「もう少し」「何となく違う」といった感覚的な言葉を 完全に使ってはいけないわけではありません。 感覚を伝えたうえで、何を基準に判断したのか、 どの方向へ変更したいのかを補足することが重要です。

05

DESIGN FEEDBACK

デザイン修正を指示するときのコツ

デザインへの修正指示では、 色、サイズ、位置、余白、写真、装飾など複数の要素が関係します。 一つの赤字に多くの変更内容を詰め込むと、 どの変更がどの目的に対応しているのか分かりにくくなります。

変更する要素と維持する要素を分ける

「ボタンを目立たせる」という指示を受けた場合、 制作者は色、サイズ、位置、余白、影など、 複数の方法を検討できます。 変更してよい範囲が決まっている場合は、 変えない要素もあわせて伝えます。

修正

ボタンの背景色を濃い青へ変更してください。
文字、サイズ、位置、角丸は変更しません。

相対的な指示には基準を示す

「もう少し大きく」「余白を狭く」といった指示は、 人によって想定する変化量が異なります。 数値を指定できない場合でも、 他の要素を基準として示すと伝わりやすくなります。

  • 本文ではなく、一つ上の小見出しと同じ文字サイズにする
  • 左右の余白を、直前のセクションと同じ幅にそろえる
  • 写真の高さを、隣のカードとそろえる
  • PC表示だけでなく、スマートフォンでも中央配置にする

参考デザインのどこを参考にするかを書く

参考サイトや参考画像は、完成イメージの共有に役立ちます。 ただし、「このようにしてください」だけでは、 色、構成、写真、動き、雰囲気のどれを参考にするのか判断できません。

「カードを横に並べる構成」「写真に重ねた見出しの配置」 「スクロール時の表示アニメーション」など、 参考にしたい部分を限定して伝えます。

!

デザインの作り方まで限定しすぎない

目的が達成できれば実装方法は制作者へ任せられる場合もあります。 「文字を画像化する」など手段を先に指定すると、 更新性やアクセシビリティを損なう可能性があります。 まずは目的と完成状態を共有しましょう。

06

TEXT REVISION

文章修正を指示するときのコツ

文章への赤字では、 誤字脱字の訂正と、表現の改善を分けて考える必要があります。 一文字を置き換えるだけの修正であれば、 変更後の文字を直接記載すれば伝わります。

一方、文章全体を書き換える場合は、 誰が完成原稿を作るのかを明確にします。 確認者が完成文章を提示するのか、 制作側へリライトを依頼するのかによって、 必要な指示が異なります。

完成原稿がある場合

差し替える文章をそのまま記載

修正前と修正後を併記し、 句読点や改行を含めて確定原稿を示します。

リライトを依頼する場合

残す情報と変更目的を記載

文字数、対象読者、必須情報、避けたい表現などの条件を共有します。

修正前と修正後を区別する

PDF上に新しい文章だけを書き込むと、 どの部分と差し替えるのか分からなくなる場合があります。 長い文章を変更するときは、 「修正前」「修正後」または「削除」「追加」を明記します。

修正前

当社ではさまざまなWeb制作のサービスを幅広く行っています。

修正後

当社は、企業サイトや採用サイトを中心に、 企画から運用まで一貫して支援しています。

「短く」「分かりやすく」の条件を示す

文章を短くする場合、どの情報を削除してよいかが分からなければ、 重要な内容まで失われる可能性があります。 残すべき情報、目安の文字数、想定読者を示します。

「短くしてください」ではなく、
「誰が、どこで読む文章か」を伝える。

例えば、「スマートフォンのファーストビュー内に収めるため60文字程度」 「専門知識のない採用応募者にも分かる表現」 「料金と対応範囲の情報は残す」といった条件があると、 制作者は判断しやすくなります。

07

WORKFLOW

手戻りを減らす修正確認の進め方

一つ一つの赤字が具体的でも、 修正指示の管理方法が整理されていなければ、 見落としや重複が発生します。 複数人で確認する案件では、提出前の取りまとめが特に重要です。

STEP 1

確認する観点を分ける

文章、デザイン、掲載情報、動作など、 確認項目を分けてチェックします。 一度にすべてを確認するより見落としを減らしやすくなります。

STEP 2

複数人の指示をまとめる

担当者ごとに別々のファイルを送るのではなく、 一つの資料へ統合します。 矛盾する指示は、制作側へ渡す前に社内で確定します。

STEP 3

優先順位を付ける

必須修正、可能であれば対応する修正、 検討してほしい内容を区別します。 すべてを同じ強さで指示しないことが大切です。

STEP 4

最新版を明確にする

ファイル名に日付や版数を付け、 どの資料が最新か分かる状態にします。 古い指示書は取り下げるか、参照不要であることを伝えます。

STEP 5

修正結果を目的と照合する

指示どおり操作されたかだけでなく、 読みやすさや導線改善など、 当初の目的が達成されたかを確認します。

修正後の確認では、赤字と一字一句同じかどうかだけを見るのではなく、 修正によって新しい問題が生じていないかも確認します。

文章を短くしたことで意味が変わっていないか、 ボタンを大きくしたことで他の要素が押し出されていないか、 PCで整っていてもスマートフォンで崩れていないかなど、 変更の影響範囲まで確認する必要があります。

08

CHECKLIST

赤字を提出する前のチェックリスト

修正指示を制作担当者へ渡す前に、 次の項目を確認すると、認識のずれや確認の往復を減らしやすくなります。

FINAL QUESTION

この指示を初めて見た人が、
同じ完成状態をイメージできるでしょうか?

09

SUMMARY

伝わる赤字は、制作の品質と進行を支える

修正指示は、単に間違いを指摘するためのものではありません。 確認者が持っている判断、目的、完成イメージを、 制作担当者へ正確に共有するためのものです。

「目立たせてください」「違和感があります」 「もう少し分かりやすく」といった指示だけでは、 変更方法を制作者が推測することになります。 推測した結果が意図と異なれば、 再修正や再確認が必要になり、制作期間も長くなります。

伝わる赤字を入れるには、 修正する対象、現状の問題、具体的な変更内容、 変更の目的、適用範囲を整理することが重要です。

すべての指示を長く書く必要はありません。 「会社名を正式名称へ変更」 「この文章を下記へ差し替え」 「全ページ共通」といった短い指示でも、 必要な情報がそろっていれば十分に伝わります。

一方、デザインの印象や文章の分かりやすさなど、 解釈の幅が大きい修正では、 理由や基準を補う必要があります。 制作者が判断できる余地を残しながら、 目指す方向を明確に共有することが大切です。

分かりやすい赤字は、 修正回数を減らすだけでなく、 確認する側と制作する側の認識をそろえ、 制作物の品質を高めます。

この記事のまとめ
  • 赤字は、間違いの指摘ではなく 目的と完成イメージを共有する手段
  • 「どこを」「どう変えるか」「なぜ変えるか」 「どこまで変えるか」を明確にする
  • 「いい感じに」「もう少し」などの指示には 判断基準や具体例を補う
  • 変更する要素だけでなく、 変更しない要素も伝えると認識をそろえやすい
  • 複数人の赤字は一つにまとめ、 矛盾と最新版を確認してから提出する
  • 修正後は指示どおりかだけでなく、 本来の目的が達成されたかを確認する

FREQUENTLY ASKED QUESTIONS

修正指示に関するよくある質問

Q 修正指示は細かく書くほどよいのでしょうか?
A

必ずしも長く書く必要はありません。 対象と変更内容が明確で、解釈が分かれない指示であれば短くても十分です。 デザインの印象や文章の方向性など、 判断の幅がある修正には目的や基準を補足します。

Q デザインの専門用語を使わなくても伝えられますか?
A

専門用語を無理に使う必要はありません。 「ユーザーがボタンに気付きにくい」 「見出しと本文の区切りが分かりにくい」など、 現状の問題と目指す状態を具体的に伝える方が重要です。

Q 参考サイトを送るだけでは不十分ですか?
A

参考サイトだけでは、どの部分を参考にするのか判断できない場合があります。 レイアウト、配色、写真の見せ方、アニメーションなど、 参考にしてほしい要素を明記してください。

Q 複数人で確認するときはどうすればよいですか?
A

各担当者の指示を一つの資料へ統合し、 重複や矛盾を社内で整理してから制作側へ渡します。 誰の指示を優先するのかを制作担当者へ判断させないことが重要です。


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