「宜しくお願い致します」と
「よろしくお願いいたします」
正しいのはどちら?
ビジネスメールやWebサイトの文章で頻繁に使われる「よろしくお願いいたします」。 何気なく使っている表現ですが、漢字にするか、ひらがなにするかで、文章の印象や読みやすさは大きく変わります。 今回は、校正の現場でもよく確認されるこの表記について解説します。
みなさんは、どちらが正しいと思いますか?
- ①「宜しくお願い致します。」が正しい。
- ②「よろしくお願いいたします。」が正しい。
結論から言うと、一般的なビジネス文書やWebサイトの文章では、 ②「よろしくお願いいたします。」をおすすめします。
①が完全に間違いというわけではありません。しかし、現代の公用文・ビジネス文書・Webライティングの観点では、 「宜しく」「致します」と漢字を多用するよりも、「よろしく」「いたします」とひらがなで表記したほうが、 自然で読みやすく、過度に堅苦しい印象を避けられます。
なぜ「宜しく」より「よろしく」がよいのか
「宜しく」は、古くから使われてきた漢字表記です。 そのため、年賀状や改まった挨拶文などで見かけることもあります。 ただし、現在の文章では「よろしく」とひらがなで書くほうが一般的です。
「宜」という漢字は、日常的に頻繁に使われる漢字ではありません。 読める人は多いものの、文章の中に入るとやや硬く、古風な印象を与える場合があります。 特にWebサイトでは、ユーザーが文章をじっくり読むとは限りません。 ひと目で意味が入ってくること、読み手に負担をかけないことが大切です。
その点、「よろしく」は視認性が高く、読みやすい表記です。 お問い合わせフォーム、会社概要、採用ページ、メール文面、サービス紹介文など、 幅広い場面で自然に使えます。
「致します」より「いたします」がよい理由
「致します」と「いたします」については、少し考え方が異なります。 「致す」という漢字には、「至らせる」「引き起こす」「する」といった意味があります。 一方で、補助動詞として使う場合は、ひらがなで「いたします」と書くのが一般的です。
たとえば、「確認いたします」「ご連絡いたします」「対応いたします」のような表現では、 「いたします」は前の動詞を丁寧にするための補助的な役割をしています。 このような場合、漢字で「致します」と書くよりも、ひらがなで「いたします」とするほうが、 校正上は整った表記と判断されやすくなります。
宜しくお願い致します。
漢字が続くため、重く見えやすい表記です。 礼儀正しく見せたい意図は伝わりますが、Web文章では少し古風・堅すぎる印象になることがあります。
よろしくお願いいたします。
ひらがなと漢字のバランスがよく、読みやすい表記です。 ビジネスメール、Webサイト、資料、案内文など、幅広い文章に適しています。
「お願い」は漢字でよいの?
「よろしくお願いいたします」の中で、「お願い」は漢字で書いて問題ありません。 「願い」は名詞として意味を持つ部分であり、「お願いいたします」は定型的な丁寧表現として広く使われています。
ただし、文章全体のトーンによっては「よろしくお願いします」と少し軽めにすることもあります。 たとえば、社内チャットやカジュアルなお知らせであれば「よろしくお願いします」でも自然です。 一方、取引先へのメール、見積書の送付文、契約関連の連絡などでは 「よろしくお願いいたします」のほうが丁寧で安定した印象になります。
校正で見るべきポイント
校正では、単に誤字脱字を直すだけでなく、表記の統一や読み手に与える印象も確認します。 「宜しくお願い致します」と「よろしくお願いいたします」の違いは、まさにその代表例です。
-
漢字を使いすぎていないか
丁寧に見せようとして漢字を増やすと、かえって読みにくくなることがあります。 -
補助動詞がひらがなになっているか
「いたします」「ください」「いただく」などは、補助的に使う場合ひらがな表記が自然です。 -
媒体に合った表現か
会社案内、LP、メール、SNS、採用ページなど、掲載場所によって適した硬さは異なります。 -
表記がページ内で統一されているか
同じページ内で「致します」と「いたします」が混在すると、文章品質が低く見えることがあります。
Webサイトでは「正しさ」だけでなく「読みやすさ」も重要
Webサイトの文章では、国語的に間違っていないかだけでなく、ユーザーが迷わず読めるかも重要です。 文章が硬すぎると、会社としての信頼感は出る一方で、距離を感じさせてしまうことがあります。 反対に、くだけすぎると誠実さや専門性が弱く見える場合もあります。
つまり大切なのは、文章の目的に合わせて適切な表記を選ぶことです。 「よろしくお願いいたします」は、丁寧さと読みやすさのバランスがよい表現です。 迷った場合は、この表記を基本形としておくとよいでしょう。
なお、企業によっては独自の表記ルールを設けている場合もあります。 たとえば、社内の文書ルールで「致します」を使用する方針になっている場合は、 そのルールに合わせることもあります。 校正では、一般的な表記ルールと、企業ごとのトーン&マナーの両方を確認することが大切です。
まとめ
「宜しくお願い致します。」と「よろしくお願いいたします。」で迷った場合、 Webサイトやビジネス文書では「よろしくお願いいたします。」をおすすめします。
「宜しく」はやや古風で硬い印象があり、「致します」は補助動詞として使う場合には ひらがなで「いたします」とするほうが自然です。 ちょっとした表記の違いでも、文章全体の読みやすさや企業の印象は変わります。
読み手に伝わりやすく、信頼感のある文章に整えるためには、 こうした細かな言葉づかいの見直しが欠かせません。 文章の品質を高めたいときは、ぜひ一度、表記のゆれや言葉の硬さにも目を向けてみてください。